She and I・・・

--これは驚異的なことなのだが、

千夏は10年ほどの期間で実験レベルの試作機の開発に成功した。

人間を仮死状態にして何年間も生命維持できる装置だ。

「仮死状態・・・」
思わずつぶやいていた。

「そうだ。生きたまま冷凍され、長期間生命維持はされるが、ほぼ老化はしない。死に限りなく近い状態だ」

「なぜ、そんな・・・」

「コールドスリープ自体は今後必ず必要になっていく技術だ。たとえば、移住などを目的に大人数が長期間宇宙航行する場合に、活動しながら移動するのと睡眠したまま移動するのでは、宇宙船の大きさや物資の量に圧倒的な差がでてしまう・・・。だから、航行に必要なクルー以外はコールドスリープ状態にするといった用途が考えられる・・・」

「・・・だが、千夏にとっては違う用途の為に開発したのだ・・・」

「・・・ある種、それは未来へのタイムマシンでもあるのだ。君の乗ったホワイトエクスプローラー号が計らずもそうなってしまったように・・・」

教授が言葉を区切り、僕の顔を見据えた。

「千夏にとっては、君の行き着く未来へ、追いつく為の装置だった・・・」