She and I・・・

僕は、
大宮先輩からのメールの内容にとまどっていた。
どうして千夏がどうなったのか教えてもらえないのだろう・・・。

クリスにも情報はなかった。

しかし、僕に比べて選択肢が少しだけ多かった。

彼の妻が、

クリスの死を制度上受け入れ、
帰還した今も連絡をとってこないことから、

彼女はクリスと関係のないところで幸せに暮らしているということは想像できるが、それはあくまでも想像にしか過ぎない。

第二の人生を尊重する為に、お互いに情報を得ることが制度上禁止されているからだ。

彼女がどこでどのような生活を送っているのか--いないのか、生死さえも--クリスには知りようがないのだ。

だが、本当に?

クリスは教えてもらうことはできないけれど、

自らの手で調べることを誰が止められるだろうか?

制度がそれを禁止していたとしても。

クリスは迷っていた。

会いたい気持ちと、

会いたくない気持ち。

それは当然

鏡のように

彼の妻も持っている気持ちではないのか?

会いたい気持ち、

会いたくない気持ち・・・


そして、
クリスの死を認めてしまったことを負い目に感じ

会えない

会う顔がないという気持ち。

または、

もうほおっておいてほしい。

クリスのことは忘れて新しい人生を歩んでいるのだから。
という場合だってあるだろう。

情報がないということは、

それらすべてに可能性があるということだった。


「なんて残酷な運命なんだ。30年後ではなく、300年後だったならこんなにも悩むことはなかったのに」
後にクリスはそう言ったという。