僕は家族と一緒に郷里には帰らなかった。
僕はきっと、宇宙省を離れては生活ができないだろう。
ダンとアンヌ、そしてドクも同じ選択をした。
宇宙探査局という組織は、
30年の間に宇宙省に発展していたが、
省内に宇宙探査を担う宇宙探査局という部署があらたに存在していた。
僕たちの身元を、そこが引き取ってくれたのである。
サレンパーカー艦長は、
責任をとって退局した。
誰も艦長の責任を追及せず、
むしろ無事に帰還した手腕を褒めたたえられていたが、
勇退する道を選んだ。
そして、自分の母親と年齢のかわらない妻と、
自分より年上の息子とともに、
かつての自分の家で暮らしはじめた。
艦長にどんな葛藤があったのか、
想像することはできなかった。
クリスは態度を決めかねていた。