地上に帰還してからは、
宇宙省の宿泊施設に滞在した。

一躍、時の人となった僕たちには
好奇の目が向けられるとともに、
報道機関から取材の申し込みが殺到していた。

それらすべてを宇宙省はシャットアウトして、
一応の平穏を与えてくれていた。

健康診断を受け、体力がある程度回復するまで外へも出られなかった。


そして、極秘のうちに僕たちはその施設内で家族との面会をそれぞれ果たした。

どの面会にもぎこちなさがあった。

彼らには彼らの30年の月日があり、

僕たちにはたった1年のことだったけれど、

死の覚悟を乗り越えて帰還したという濃厚な1年があった。

その二つの年月はまったく異質のものである。

お互いに異質の時間を過ごした家族は、別世界の住人のようにさえ遠く思えることもあった。

それでも血の繋がりというのはありがたいもので、

親は生きて帰ってきたことを喜んでくれた。

その点はどの家族も似たようなものだっただろう。

だが、夫婦は?
または恋人は?

無条件でわかりあえる血のつながりはないけれど、
築いてきた関係でそれを乗り越えることもあるかもしれない。
それは人それぞれだ。