She and I・・・

「この船は高速で移動しています。私たちの持っている知識、技術では計測できないほどのスピードで・・・」

--アンヌが艦長に報告したのは、その推測だけじゃ。

どうしてそうなったのかということや、そのことによって起こることを二人は良くディスカッションしていたよ。

ナビゲーションシステムという計測器を失ってしまっていた二人にとっては、その推論全てが空想と同じくらい曖昧なものじゃった。

曖昧な話で、ただでさえ不安なみんなに
心配の種をさらに蒔く必要はない。

だから、二人以外でこの話を聞いていたのはわしだけじゃ。

一番、最悪なのは何かに衝突する事故。
または速度に耐えられずに船体が破損すること。

じゃが、システムが役立たずになってから相当期間無事だったことから考えて、何かそういうことのおこらない空間に入り込んでしまったと考えてもよさそうだと推定した。

次に、想像もできんくらい遠くまで行ったあげくに帰れないというケース。
これは充分にありえると推定された。
その時は積んでいた物資の終わりが、我々の終わりじゃ。

想像もできんくらい遠くまで行ったとしても、どこかでこの空間を出ることが出来るというケースが、

唯一帰れる可能性のあるものじゃった。

それでも帰れない可能性に、

そこで正確に転回できない。
通ってきた特殊な空間に入れない、またはその空間が一方通行である。

といったケースが推定された。
帰れない可能性のどれだけ高いことか・・・

わしたちがこうして帰ってきたのがどれだけ奇跡的なことなのかわかってきたかな--