She and I・・・

一生守ると約束した千夏を後ろに乗せ、

帰り道も丁寧な運転を心がけた。

まだ明るいうちに大宮家に戻って来た。

千夏のお母さんが出て来た。
朝も出てこなかったから先輩や教授はいないのかもしれない。


「あがっていかないの?」
と千夏のお母さんはきいた。

「ええ、今日は帰ります」
集中して走ったのでクタクタだった。

ガチャと玄関が開き、大宮教授があらわれた。

「無事に送りとどけてくれてありがとう」
と教授は真面目な顔で言った。
教授はずっと家にいて帰りを待っていたのだろうか。

「いえ、ご心配をおかけしました」
頭を軽くさげる。

「帰り道もじゅうぶん気をつけて帰りなさい」

「はい、ありがとうございます」

「今日は、ありがとうね」
千夏が笑っていた。
ちょっと疲れて見えた。

バイクにまたがりなおし、
「また」
と言うと千夏はウインクしてきた。

他の人にわからないようにウインクするのがうまい。

教授やお母さんの方に会釈をして、バイクをスタートさせた。


眉間のあたりで集中力が高まり、
教授の声がこだましていた。

・・・帰り道もじゅうぶん気をつけて帰りなさい--