She and I・・・

「座ろうか」

ベンチに腰掛ける。

僕はもう彼女の方を見ることができず、前方に広がる景色に目をやっていた。

彼女は首を横にして、僕の横顔を見つめているように視界のすみで感じていた。

「ねえ、大切なだけ?」

え?

言われたことがよくわからなくて思わず横を向いたら、見上げて来る視線と目があった。

「大切なだけ?」
もう一度彼女が言う。

「一番大切だよ」

「好きじゃないの?」

・・・そういうことか・・・

「・・・好き、だよ」
恥ずかしくて仕方なかった。大事なことだとはわかっていても口にするのは難しいことだった。


「ちゃんと言って」

「ちゃんと?」

「千夏、愛してるよ、って」

「・・・」

「愛してないの?」

「・・・愛してる・・・」

「ちゃんと言って」

「・・・千夏・・・愛してるよ・・・宇宙で一番」

「ありがとう。私もイタルさんのこと好きです」

なんか負けた気がするのは何故だろう。

「ホントにありがとう。宇宙で一番って言ってくれて。『千夏愛してるよ』は私が言わせたんだもんね」

「そんなことないよ」

「優しいね。帰りもよろしくね。イタルさん」

「帰りだけじゃない」

「え?」

「帰りだけじゃない、一生、君を守る」

「それ、プロポーズ?」

「そういう気持ちはあるけど、それはまたそういう時期が来たらきちんとあらためてするよ」

「約束だよ」

「約束する」

「新しい約束だね」

そうだね・・・