ふたりの間に、沈黙が流れる。

「…そのひとことを、ずっと待ってたんだ」
先に切り出したのは、彼の声。
「おまえが素直になってくれないから、
 俺も自分の気持ち、言えなくて。
 傷つけたかもしれないけど、
 これからは、そんなことしないから」

胸が、痛む。
彼を、ひどい人にしていたのは、
私の素直さが足りないせいだった。

「今度、一緒に旅行に行こう」
彼が、誘ってくれる。
「どこがいい?」
彼となら、どこへでも。
「遠くへ行こうか、
 “のぞみ”に乗って」

夢の中で、ひとりで乗っていた
あの、のぞみ号。
今度は、彼とふたりで乗る。
お互いの希望を抱いて。

いつか、夢は叶う。
そう信じている。