〜花魁〜




『空…。』



うわ言の様に愛しい人の名前を呼んでも

一緒に出てきた白い息と共に北風がさらって行って

結局は、わだかまりだけしか残らない。




――………




店のドアの前に立ち、手の平で両頬を叩いて気合いを入れる



『俺、笑えっ!』



――カラーンカラーン



ドアの開閉を告げるベルが鳴り、店内へと足を踏み入れると、

カウンターの一番端っこの席に見覚えのある後ろ姿が…



見覚えはあるのに、でも…前と違う……。



「お〜、おかえり!!」



カウンターの向こう側から手を振って来る蓮さんの顔は、これでもかって位に気持ち悪い笑顔



『買って来たで〜』




俺の声に、見覚えのある後ろ姿が振り返った――。




「光〜!!」



やっぱり―…。






.