〜花魁〜




ちらほらと客の出入りがある店内は、いつもより心なしか忙しくて…

普段なら、カウンターに座って呑気にタバコを吸っている蓮さんも、珍しく接客している。笑



「光〜?タバコ買って来て〜!!」


そう言って、俺の返事を待たず…目の前に財布を放り投げてきた―。



『はいはい〜。』



前言撤回!!なんて思いながら外に出ると…

上着を羽織らず出て来た俺に、肌を刺す程の冷気が襲ってきて

暖を求めるかの様に、人込みに紛れ込んだ。







近くのコンビニでタバコを買い、来た道を足早に戻ろうとした時、



……………。



『……っ』



微かに香った香水の匂いに

思わず振り返った――。




『空……?』



こんな所にいない事くらい分かってる。

やのに…空と同じ香水の匂いに、体が無意識に反応して

視界が歪んでゆく……。






俺の意思とは関係なく、熱くなって行く目頭だけが寒さを紛らわしてくれて、


俯いた視線の先に、シャツの隙間から覗いたブレスレットが映り…引きちぎってやりたくなった





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