〜花魁〜




「さぁ〜て、今日も1日終わったで〜。」


『そうっすね!!早く片付けて帰ろ〜』



目の前に溜まったグラスをひとつずつ丁寧に洗って、拭いて行く




「何か、今日楽しそうやな〜?」


『はぁ…?気のせい気のせい。』


「お前ってさ〜、ほんまに自分のこと話さんよな〜。」



タバコの煙にタメ息を混ぜて言う蓮さんは、ムカつく位カッコいい―…。



長い脚を組み直して、目の前に置かれた水滴の付いたグラスでさえ、

蓮さんの色気を最大限に引き立てる要素に思えてくる。




『話す事なんてないし。つまんない男なんですよ〜俺は。苦笑』


「俺は、これからお前がどう変わって行くか楽しみで仕方ない♪」



“ふっ…”と、鼻で笑う様に軽く上がった口角は、何故が俺の神経を逆立てる―。




『意味分からん。てか、片付け終わったから先に帰ります。お疲れ様でした〜』


「はいはい〜。お疲れさん」



手をヒラヒラさせる蓮さんを背に受けて、店を後にした。



外に出ると、雨だった天気が雪に変わっていて

意味もなく切なくなった…



『さむー…』



ボソッと、口から零れた独り言は

虚しさと共に…喧騒に飲み込まれて行く。






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