〜花魁〜




辺りをキョロキョロと見渡し、店の前にある傘立てから
勝手にビニール傘を拝借した。



『あ、あの…、これ…』


「えっ!?」


まるで、自分の傘かの様に何食わぬ顔で
傘を差し出した。



近くで見ると、よりいっそう空に似てる…。



『雨、酷いから…さした方がいいで?』


「…………。」



さっき同様に、また俯き出した彼女は
何も喋らないどころか…


――いきなり抱き付いて来た。




『はぁ!?ちょっー…』



何、この展開は…?なんて呑気に思ってる場合じゃなくて、

どう考えても…おかしいやろ!!!!!



『えっ!?ど…どうしたん?』



首を横に振るだけで、一切喋らない彼女を不愉快に思わないのは…


俺が男だからか…、それとも空に似てるからか…。



どちらにせよ、空じゃない女を追い掛けた事自体が不思議でたまらない。






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