〜花魁〜




閉じた瞼を、ゆっくり開けると…

さっきまで俯いていたショートヘアの彼女がいない。



『ちょっと、トイレに行って来ます!』


隣に座る横田にそう告げると、返事を待たずに席を立った





直感?本能?どっちか分からないけど…

何の根拠もなく“外や!!”って思った俺は

店の外に出てみた…



『あっ…。』


目の前には、傘もささず濡れながら携帯と睨めっこをした後、大きなタメ息をつく彼女の姿が…




『ッッツ………。』



やっと、顔が見れたって言うのに

複雑な気分なのは…

空想の世界にいるであろう神様の【嫌がらせ】のせいや…。




一瞬、自分の目を疑った。

ついに…俺は目までイカれたんか?って…。




『そ…ら……。』




空じゃない事くらい、足りない俺の頭でも分かる…

こんな所に空がいる訳がない。



だけど…彼女の顔が空に似ていたから。





こんな事…あるんや…



なんて…至って冷静な俺は…ただ、その子を見たまま動けないでいる。




次第に強くなって行く雨は、容赦なく体を冷やしてゆく…







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