〜花魁〜



さっきの治療室の前に戻ると
俯いて顔を覆い隠して椅子に座る貴史の姿が目に入った。



『…貴史?』


「光…。こっち。」



そう言って、先を歩いて行く貴史。



海と後を着いて行くと、貴史が足を止めた部屋は

[霊安室]だった―…。




『嫌や…入りたない!!何でこんなとこ…連れてくんだよ!?絶対に入らん。』



こんな部屋に空がいる訳がないやろ…?



「兄ちゃんの…馬鹿!!一生、逃げとったらいい!!」



そう言って、霊安室と書かれた部屋に入って行った海。




逃げて、何が悪い?

往生際が悪くて何がいけないんや?




『無理…なんだよ…。』


「光…?そこに座ろ。」



近くにある、ボロボロに破けた長椅子を指さす貴史に

黙って頷いた。





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