先を歩いていると、後ろからスタスタと追いかけて来た海が
そっと、俺の手を握る。
唇を噛み締めて、必死に涙を堪(こら)えようと小刻みに震えている海を映す俺の視界は
何でやろ…?歪んでて見にくいんや―…。
「兄ちゃん…?まだ、姉ちゃんのこと…好き?」
静寂に包まれた病院の廊下は、ダイレクトに
海の言葉を、俺の耳へと届けてくれる。
『…分かってるクセに。』
「うん。分かってる…」
好きとか、嫌いとか
愛してるとか、愛してないとか
思ってるとか、思ってないとか…
そんな単純なモノでも
そんな一言で済むモノでもない―…。
だけど、口に出さなきゃ伝わらない想いなら
『俺は、空しかいらない。』
昔も今も、空しかいらない…。
これからだって、そうや。
「早く…姉ちゃんの所に行こ―…。」
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