〜花魁〜



『はぁ、はぁー…』


普段から運動なんて滅多にしない俺は
無意味に走り出したとは言え、息切れが半端ない。



病院の直ぐ側の段差に腰を下ろす――。



今夜は熱帯夜なのか…
陽が落ち、暗闇に包まれた空気ですら熱を帯ていて
肌にまとわりついた風と汗が気持ち悪い。




「に、兄ちゃん!!こんな所にいた…」


そう言って、俺を見つけるなり隣に座る海は
やっぱり若さからか、息切れ一つしていない。




『嘘だって言えよ。今なら、お前の悪い冗談も笑って許してやるよ――。』


「兄ちゃん…、分かってるやろ?」


『…………。』



俺の背中をさする海の手に、空の手を重ねた。




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