「幸姉…?」


「火月を‥火月をお願い…」


そう言って、泣き出した幸姉。

俺は、ハッと息を呑んだ。

それが、今の幸姉の精一杯だったのだろう。

今表現できる、精一杯の愛情だったように思う。


「判ってるよ」


俺は微笑むと、車に向かった。


「ごめんなさいっ」


車に乗り込む直前、小さくも切実な響きを持った幸姉の声が聴こえた。

それは俺に向けての言葉だったのか、それとも…。

いや‥きっと火月への謝罪だったのだろう。