現実(リアル)-大切な思い出-

ある日、私はマスターの店に向かうために通りかかった公園で、天音の姿を見つけた。

遠目に見る彼女が、泣いているように見えて驚いた。

普段は笑顔しか見せない天音が泣いていることは、にわかには信じられなかった。

だから、思わず近付いてしまったのだと思う。


気付いた天音が、ハッとして私を見る。

見間違いかもしれないと思ったが、やはりそうだったらしい。

今は涙が出ているわけではないが、その目は赤かった。


「神楽さん‥だよね?」


「ええ」


「あー、変なとこ見られちゃったな…」


天音が、恥ずかしそうに笑う。

けれど、私には泣いているようにしか見えなかった。