現実(リアル)-大切な思い出-

「それよりお礼は?」

姉さんが、不満げに口を尖らせる。

「せっかく響のために作ってきたのに、お礼の言葉もないわけ?」


「あーそっか」

俺は、姉さんに向かってニッコリと微笑んだ。

「ありがとう。頼んでないけど」


「うっわぁー、それお礼のつもり?」


「勿論」


怒ったように、姉さんが俺の首を掴んで揺らす。

苦しいけれど、何だか少し嬉しかった。