現実(リアル)-大切な思い出-

俺は雑炊をレンゲですくい、それを口に運んだ。


「美味いよ」


「やっぱり!?」

姉さんは、嬉しそうに声をあげた。

「あたし、料理の才能あるのかもっ!」


「これくらいで?」


思わずまた、笑みがこぼれる。

俺はやっと、言えなかった言葉が口にできそうだ。


「姉さん…」


「んー何?」


「ごめんね」


「‥何が?」


本当に判っていないのか、それともはぐらかしているのか、その判断をすることはできなかった。

だって姉さんは、鈍感だけど‥鋭いから…。