自分で言うのもどうかと思うが、俺は小さい頃から姉さんより要領が良くて、もの覚えなんかも良かった。

たとえ一緒に悪さをしても、見つかるのはいつも姉さん。

怒られている姉さんへの罪悪感に堪えかねて名乗り出れば、「響は正直で優しい子ね」と褒められる始末だった。


姉ということだけで、姉さんはかなり損をしていた。

小学生に上がる前には、俺にでもそれがよく判った。


小学校に上がると、姉さんと俺を比較する声は、益々酷くなった。

両親は、そうでもなかったと思う。

特に、女の子を欲しがっていた父さんは、姉さんのことを俺以上に可愛がっていた。

だけど、学校の人間の目はそうではない。

先生までもが、俺と姉さんを比べていた。


中学に上がる頃、俺は反抗期を迎えた。

反抗期だったことは、確かだ。

だけど本当は、それを示して自分の行いを正当化したいのかもしれない…。

兎に角、俺はその反抗期のせいで、姉さんを傷付けてしまった。