「助けてくれたお礼に、俺が何か奢ってやるよ。何が良い?」
「‥クレープ」
気付けばそう、呟いていた。
いつだったか、母親に何が好きかと聞かれ、「甘いもの」と答えたことがあった。
あれは確か8歳の誕生日で、まだ一応は誕生日祝いをしてくれていた頃だ。
だが、母親は甘いものが嫌いだったため、俺のその答えに機嫌を損ね、眉間に皺を寄せた。
そしてただ一言「やっぱり、あの男の子どもね」と呟いた。
それ以来、俺は母親の前で甘いものを食べることはしなくなった。
「食べたい」と、口にすることさえしなかった。
それなのに、彗には躊躇いなく言えてしまったのは、何故だろう…。
「おーいいぜ?けど、意外だなぁ‥甘いものとか、ダメそうな顔してんのに」
彗は、楽しげにそう言った。
あの時の母親の反応とはあまりに違っていて、それがとても嬉しかった。
「‥クレープ」
気付けばそう、呟いていた。
いつだったか、母親に何が好きかと聞かれ、「甘いもの」と答えたことがあった。
あれは確か8歳の誕生日で、まだ一応は誕生日祝いをしてくれていた頃だ。
だが、母親は甘いものが嫌いだったため、俺のその答えに機嫌を損ね、眉間に皺を寄せた。
そしてただ一言「やっぱり、あの男の子どもね」と呟いた。
それ以来、俺は母親の前で甘いものを食べることはしなくなった。
「食べたい」と、口にすることさえしなかった。
それなのに、彗には躊躇いなく言えてしまったのは、何故だろう…。
「おーいいぜ?けど、意外だなぁ‥甘いものとか、ダメそうな顔してんのに」
彗は、楽しげにそう言った。
あの時の母親の反応とはあまりに違っていて、それがとても嬉しかった。


