現実(リアル)-大切な思い出-

何故かと問われても、俺には答えることができない。

無関心でいることに慣れたから、楽だから‥“恐れずに済むから”‥そんなところかもしれない。


「けど、完全には隠しきれてねぇよ?」

彗はそう呟くと、散らばっていた紙に手を伸ばした。

「俺と同じでさ…」


そうなのかもしれない。

いや、きっとそうなのだろう。


自分でも気付かないようにしていたことを言い当てられて、俺は思わず笑みをこぼした。


「笑えんじゃん」


彗に目を向けると、満足げな表情が見て取れた。

やはり大抵の場合は、感情を素直に出してしまうらしい。