現実(リアル)-大切な思い出-

「やっぱ、俺と日暮は似てるよ」


「…」


「否定しねぇの?」


否定は、できなかった。

彗が感じたことと、俺が感じたことが同じなのかは判らない。

だが、確かに俺も、そう感じる部分があった。


彗は裏表がなく、ただ自分に正直に生きている人間だと、俺は初めそう思っていた。

単純で、幼い子どものように感じていた。

だが、それは違った。

彗にも、抱えているものがあるようだ。

それを隠すために、彗は“幼い子ども”を演じているのだと、そう思えた。

そして俺は…。


「日暮は何で、無関心でいようとしてんの?」


彗のそんな言葉が、やけに耳に残った。