あしたなど・わかってたまるか・コノヤロー

「待って!田口君に自転車かしてあげるの!」


妖精がサワヤカ男から手ぇ離して、オレの顔のすげぇ近くに顔近づけて、ちっせー声でこう言った。

「田口君ごめんね、ありがとう。アタシの自転車使ってくれる?」

「おう。けどおまえ、明日大丈夫なんか?」

「うん、アタシは送ってもらうから大丈夫。ありがとう」


すげぇ笑顔でそう言い残すと妖精は、オレに『君』とか言いやがったサワヤカ男に手ぇ引かれて、坂を登ってった。


妖精は、すぐ振り返った。


なんかよくわかんねぇけど、すげぇ悲しい顔してやがった。

すげぇ悲しい顔。

この世のぜんぶの憂鬱を、まるごとかかえたみてぇな、すげぇ悲しい顔。