3人の音が空気を満たした



僕が叩くドラムに合わせて
矢野さんはベースをぎこちなく乗せ
城島先輩は唄うように弾き

そして矢野さんの綺麗な声が響く



それらの振動が肌を震わせ
妙に僕は心地良くなった



フィルインであたふたして
少し失敗してしまったけど
城島先輩はにこりと微笑みかけてくれた


矢野さんとも時々目が合って
目を細めて笑った
ほとんどは下を向いて必死だったけれど


曲が終わって3人は
ひとつ息をついた




僕達は何分間の演奏
たったそれだけで
少しお互いに分かり合えた

そんな気がしたんだ



「間隔アンダンテ」