ぽつりぽつりと落ちる雨を
じっと数えていた



そのひとつひとつが
胸の中に溜まっていくように
少しずつ体が重みを増していく

雨の向こうの景色は薄くぼやけるのに
水たまりは綺麗に澄み渡っている



君の声も 後ろ姿も
青く 淡い 思い出も


みんなみんな溶けていく


そしたらぷくりぷくりと
どうしようもない感情が浮かび上がる





梅雨になるといつもこうだ
そしてまた胸から雨が溢れ返った




いつの間にか雨は止み
おおきな月が口を開ける




僕は滲んだ月を睨みつけた。



「雨音ピアニシモ」