「頼む!由香

 ノート見せてって」


「えー、此れで何回目?」



私は一生懸命由香に手を合わせて御願いをする



宿題をしてない時はいつもそうだ


というより日課?







「だって昨日も部活8時までやったんだぞ?
 家帰ったらもうクタクタで・・・



 それなのに宿題をしろと言うのか!!?このエゴイスト!!!!!!」


「同じ部の雛森さんはしてるじゃん」


「雛森ちゃんは頭良いからさ」


「駄目駄目!!!
 これも翼の為なんだよ?いつまでもこんな事してたら翼の頭はちっとも良くならない!」

「写しながら理解する派なんだよね」


良い訳ばかり並べる私に由香もそろそろ限界のようだった

その瞬間――
後ろから誰かに制服を引っ張られる



「おーい、名倉
 俺の前でこんなやり取りやるとは良い度胸だな」

「(ゲッ、鬼教師)」

宿題を出した先生がまさに其処に立っていた





「お前、今日放課後残れ」


「えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇ!!!?
 ちょっと待って下さいよ!再来週にはテニスの大会もあってそれどころじゃ」

先生が一気に私を睨む


「・・・・いえ、残らせていただきます」



呑気に眺めていた由香は大爆笑だった

「くっそー、覚えてろ!由香ァ」

私の言葉にも由香は余裕の表情





私達の間だから出切る事


私だって誰にでもノート見せろなんて言わない


由香だから見せて欲しい


そう思うから―――