浅野くんのメールの内容等はすっぱり忘れていて日々に追われていた。

浅野くんメール事件(返信が早い件)以降、なんかメールが煩わしくなってしまった。

私の中ではメールとは、声では表現出来ない、柔らかな部分を伝えるデジタルツールであったはず?

それは、今でも中学の同級生と手紙で文通をしているくらいの私なので、文字の大切さは特にそう思うのだ―

浅野くんの様に直ぐに答える内容なら、メールでは無くて、より伝わる電話でいいじゃないか。

どうせ対して考えもせずに書いた内容だし――

返事を待っ楽しみとか気にしながら過ごす、想いを馳せる事が出来ないタイプは苦手だったし―

何か軽い軟派な感じは好きに慣れなかったから、浅野くんの様なタイプは今まで苦手で避けてきた――

今回は打算的な考えから魔が差したのだ――

そうに違いない――

妄想の中、何千人もの市民の前の壇上で軍服を着た私が手を振り上げて叫んでいる姿を思い浮かべた。

私は昔から、頭が堅いと言われてきた。

それは長女だからしっかりしなきゃ!っていっも気を張ってきたからかもしれない―

これからは、どこかで浅野くんとは性格が合わないと思ってたからもう、道端で会って軽く会釈するくらいしかないだろうなと思っていた。