「あのねぇ言わせてもらえば、あたしのこの大きい荷物があったせいなんだから。走るのが苦手とか、そーいうわけじゃないんだから!」 「あー、うん。そういうことにしとくか。んで?」 なんだか少しだけ真面目な顔つきになった春木くんがあたしの手首をつかんだ。 思わず、どきりとした。 「んで、何? いきなり出て行くとか」 目線が絡まる。 そらしたいほど、鋭い、瞳。 「べ、別にっ。なんでもないもん」 「何もなくないだろ。いっしょに住むことになるんだから、言ってもらわないと直せないし、わからない」