「はっ花嫁修業!?」



あたしは驚きのあまり、飲んでいたココアを吐き出してしまった。

それでも母はそれに臆せず、

「そうよ~」

って、なんてのんき。



「今の時代、どうしてそんな古風なことさせるかな~? っていうか、い・や!」



とある田舎の、平平凡凡の女の子だとあたしは思ってます。



「だーって。
わたしや妹のルミには彼氏やボーイフレンドの男の子でわんさか栄えてるのに、あなたには一度も彼氏とかできたことないでしょう?」


「そ、それはそうだけど、でも」


「あんたに魅力がないからか、田舎男子は健全でオクテなのね。だからあんた恋愛の一つも語れないのよ」


恋愛経験は、とても乏しいけど。



「それはごもっともだけど。でもだからって」


「ていうかね? とある事情で引っ越ししなくちゃいけなくて、陸が先にあっちでお世話になるだけなのよ~」


「初耳…」



お母さんはあっけらかんと笑って、そりゃあ言い忘れてましたもの、と。

あぁ気が抜ける。