「……っ!!」
涙を零しながら。
脳の震えに耐えて。
再度息を呑んだ瞬間。
ビクリ、と。
なぜだか、……一度体を震動させた蓮が。
ドンッと私を突き飛ばした。
「……く、……お、お前…!!」
私は突き飛ばされた衝撃に任せたまま、地面に転がる。
恐怖とか……もう、よくわらかないもので、貧血を起こしそうだ。
でも、蓮ももっと苦しそうにしていた。
赤く染まった、口元を手で押さえて。
……赤く染まっている。
私の首筋もきっと。
血、だ。
……血を……飲まれた…?!
「………あ、…や、……嘘…」
これ以上ないくらい青ざめて。
転がったまま、僅かに後退しようとすると。
蓮が鋭く私を制止して、…私を氷付けにする。
「動くな! ……そのまま、そこに、いろよ? …お前……」
蓮は…。
口元を赤く汚している、蓮は。
何か…衝動を必死で耐えているようだった。
私が恐怖に耐えているのと、同じく。

