寮と校舎を繋ぐ、緑濃い道を走る。
ただ、必死で。
飛び出したはいいが、寮に戻ることも躊躇われて。
仕方なく細道を外れて、身を隠すように茂みの中に入り込む。
雑草が覆い茂る上。
新品の制服が汚れるのも構わずに、座り込んで蹲った。
両膝を抱えて、その間に頭を捩込む。
涙でぐちゃぐちゃの顔を押し込む。
怖い。
……蓮が怖い。
どうしても。
どうしてここまで、と自分でも不思議なくらいに。
初めて逢った時は、もっと普通でいられた。
戸惑ってはいたけれど…ここまでじゃなかった。
たった一晩で。
たった一度のキスで。
私の虚勢は完璧に打ち崩された。
茂みの影。
体を押し込むように隠していると。
サワサワ、と。
私のすぐ側で若い緑が揺れている。
…葉擦れの音。
………心地いい。
ああ。
世界はなんて優しい。
夜でさえ。
雑草でさえ。
風音でさえ。
……私を慰めてくれる。
無様な、私を。

