特寮って、昔の華族の別荘だったんだって。あ、わかる。なんか古そうだし。ウチらも寮生なんだけどさ。普通寮ね。1年て4人部屋なんだよ。特寮、個室って本当?てか、メチャカッコイイ人いなかった?アレ3年生かな。いや、絶対遊佐先輩がカッコイイ………
目まぐるしいまでに、でも、きちんと会話をしている彼女たちに圧倒される。
「ねぇ!市原さん、眼鏡の人さぁ」
「…あれ、なんか固まってない?」
途切れないお喋りが、彼女たちの矛先が、突然私に向けられて、思わず逃げ腰になる。
「あ、…ごめんなさい。私も…まだ皆のこと、よく分かっていなくて」
私がしどろもどろになりながら答えると、彼女たちは瞬時にシラけた空気を醸しだす。
あっさりと、冷たい汗が吹き出したとき。
教室のドアが豪快な音を立てて開かれて、通りのいい低い声が、喧騒を切り裂いた。
「詩乃!!」

