私がこの教室内で分かる顔は……観月くんだけ。
……当然ながら、あの後から…一言も口を聞いていない。
彼は今、机に突っ伏して…寝ているみたいだ。
ふわふわの、柔らかな茶色の髪だけが見える…。
喧騒にすんなりと混じり合う姿。
周囲なんて無視して、己だけで完結できる姿。
どちらも…羨ましい。
テンポの速い会話は苦手だ。相槌も追い付かずに話題が転換されると、一瞬思考が固まる。
…今も、そう。
ポツン、と席に座っている私の肩を叩いて、3、4人の女の子たちが、急激に私を取り囲んだのだ。
「ね、市原さんて、特待生なんだよね!寮ってどんな感じ?」
…何故、それを知っているのだろう。
その明るさや人懐っこさ、疑問に戸惑う私に彼女たちは構うことなく。

