それが、大事、だと…?
「…気に入ったんじゃないか。ま、向こうも満更じゃなさそうだったしな」
ふ、と鼻で笑ってやると、さらに眉を歪めた。
「とにかく、蓮。詩乃ちゃんで遊ぶな。あの子はそうゆう子じゃない。お前みたいな男には、全然慣れてないんだ」
普段平常心でいる男が、珍しい姿勢を貫く。
…何だ、斎のこの口調。
まるで……。
ソファに投げ出した足を、乱暴に下ろす。
斎は腕を組んで、ドアべりに寄りかかってこちらをじっと睨んでいる。
「……お前、詩乃のこと知っているのか?」
「……ほんの少しね。…向こうは知らないと思うけど」
呟くようにそういって、斎は口を噤んだ。
そうして、ただこちらを注視しているだけだ。
…これ以上は何を問い詰めても絶対に口を割らないだろう。
そんな瞳だ。
…押し問答を続けたところで、益はない。

