抗議も抵抗もせず、ただぼんやり蓮の目を見ているしている、私を見て。
何故か、蓮がギョッとしたように、目を瞠った。
「……詩乃?」
私が、乱れた呼吸と混乱する頭を。
何とか立て直したいと、ズレた焦点を戻そうと、しているのに。
「…おい、こっち見ろ」
蓮が再度、私の顎を捕らえる。
「…や!……やだ!」
「詩乃!いいから、俺を見ろ!」
思わぬ硬い声音に、怯む。
蓮の…声が、さっきみたいに、からかうみたいな、愉しそうな色を失っていた。
…真剣そうに、聞こえた。
嫌がる私を、無理矢理、自分の方を向かせようとしてくる。
その強さに負けて。
恐る恐る、蓮を見ると。
私の目を覗き込んだ蓮は、さらに目を見開いて。

