……やっと部屋に帰ってきた。
慣れないベッド。
でも、シーツもきちんと清潔なものを用意してくれてある。
誰かのささやかな心遣いが、うれしい…。
でも、さらさら、ふかふかのベッドは、私には…一層落ち着かない。
寝返りをうつと。
カチャリ、と。
服の下にある、ネックレスが揺れた。
冷たい感触が鎖骨をくすぐる。
今や何にも持たない私の、唯一の…大切な宝物。
ふたつの指輪を細い銀のチェーンに通した、お守り。
ひとつは、祭の夜店で買ってもらった、玩具の指輪。……赤いガラス玉がついている。
もうひとつは、細いシルバーのリング。飾りも何もないシンプルなもの。
いつも服の下に、身につけている。
…週末になったら、ママに会いに行かなきゃ…。
…あの人にも、会えるかな………。
会えると、いいな。

