「う……わッ!!」
「人を無視した挙句、ソイツに簡単に心を許してるんじゃねぇよ」
こ、この人、いったい、何がしたいの……!!
背だって十分高いのに、わざわざ身を屈めて、耳元で喋らなくてもいいじゃない!!
意思とは裏腹に、相変わらず、瞬時に鳥肌が立つ。
「や、やだ! やだやだ!! 離して………!!」
でも、蓮は平然とそのまま。
艶っぽい低い声を、私の耳朶に投げかける。
「台所に立つ女って、何でかソソるよな? メイ」
「こ、ここは、台所じゃなくて、給湯室です!!」
……でも、そんなただの揚げ足取りなツッコミは、軽く鼻で笑われただけ。
「……馬鹿蓮。詩乃ちゃん離しなさいよ。…嫌がってるじゃない」
ああ……!!
この人…同志だ!!
さっきから「馬鹿蓮」って呼んでいるし!
今もすっごく嫌そうな顔して、こっちを見てる。
心底嫌そうに、こっちに手を伸ばして、私の腕を引っ張った。
…一瞬、瞳に宿った、鋭い光。
その…鋭さに、少しだけ驚いた。
でも、何かを発する間もなく。
グンッ、と腕を引っ張られた。
蓮に、羽交い絞めにされた、のと…同じくらいの力の強さで。

