「レン!何してるんだ!」
「………ああ、イツキ」
私がさっきまで走ってきた道。
さらに、奥に延びていて、恐らくこの建物の向こう側に、目的地があるはずだった。
そこから、別の男の人が…歩み寄ってくる。
レンって呼ばれた男を睨むように。
「お前、また…」
イツキ、と呼ばれた人は。
サラリとした淡い茶の髪を揺らして。
優しそうな、奥二重の瞳。
でも、細い銀のメタルフレームの眼鏡が、ちょっと神経質そうにも見えた。
ふ、とレンって人が上半身を起こした。
私を親指で指して。
イツキ…さんに向かう。
「違ぇよ。こいつ、新人ちゃん」
…………?!
言葉の意味を理解する前に、レンって人が私から離れていく。
そのまま、イツキさんの方に軽く歩み寄るように。

