「……やめて………ッ!」 火事場のナントカ、というやつだろう。 私は渾身の力で、男を突き飛ばす。 さっきまでは、ビクともしなかった男の体が、後ろへのけ反る。 …男は、少し驚いたように、黒曜石の瞳を見開いた…。 …………?! ち、違う……! 片目…! 右目だけ………紫水晶の、色……!? ぎょっとして思わず息を呑む。 でも。 男が、すっと一度目を閉じて。 次に開いた時には…もう、普通の…黒だった。 あれ…? 見間違い………?