日が沈み、辺りが暗くなりかける中、涼子と二人で歩いていた。


涼子はバス通学なので、バス停まで世間話をしながら歩き、見送ってからバイク小屋に行く。


途中でクラスメートの多田野俊英(ただのしゅんえい)と会った。


俊英はクラスでも成績が優秀で、真面目なタイプではあるが、2人で話すときは意外と馬が合い、シン程ではないか、仲が良い。


俊英は科学部部長で、近々あるロボットコンテストの作品を作っていて遅くなったようだった。


『ロボットの調子はうまくいってる??』


俊英は、首を横に振りながら、お手上げのジェスチャーをした。


『歩行プログラムの修正が必要で・・困ってるんだ、今度、ソラも力貸してくれないか?』


『空いてるときならいいよ、役に立つかは判らないけどね』


俊英は笑いながら。


『ソラは英語は駄目だけど工学系は得意だろ?この間のプログラミングは、すごかったからさ、当てにしてるよ』


その後、雑談をしてから別れ、スクータを走らせた。


辺りはもう暗くなっていた行き交う車もまばらになり、学生寮の途中にあるコンビニに寄ると、いつも買う渋い親父の絵柄の缶コーヒーを買いスクーターを走らせようとした。


しかし、何回試してもスクーターが動かなかった。


キーを回し始動音はするが無反応だった。


数十分したが動かないので仕方なく、スクーターを押しながら帰る事にした。


島は、バイクが無いとやはり不便だった。


学生の交通手段はバイクか学園都市周辺を巡回するバスしかなので、早急に直す予定だった。


コンビニから寮までは徒歩で1キロはあり、僕は星空を見上げながらスクーターをひきながら帰った。


夜空に浮かぶ大小の輝きがある、星の海を見ながら、実家の風景を思い出した。

両親が飛行機事故で亡くなり、優しく受け入れてくれた叔父夫婦。


良く伯父と星空を見ていたから・・・
だから、我が子の様に育ててくれた伯父夫婦を思い出すのだ。


帰ったら無性に、あの柔らかい伯父夫婦の声を聞きたくなっていた。