後ろに流れていく田園風景を私は電車の窓から眺めていた。
たった1週間なのに、こんなに田畑が愛おしいと思えるなんて。
自分の急激な心境の変化が何だか笑えた。

私が探してたモノって、結局何だったんだろう。
答えなんて見つからなかった。

だけど、1つだけわかったことがある。
誰かを喜ばせるために仕事をする。
誰かの喜びが自分の喜びに繋がってる気がする。

最後まで私の心配をしてくれたおばさん。
お土産の野菜やお米持たせてくれたおばあちゃん。
またおいで、と言ってくれたおじさん。
私のために朝から遠くの畑まで行ってくれた晶。

みんなの笑顔が、私にとっての喜びだった。

コンビニも、ケータイの電波もないけど、ここにしかないものが確かにあった。

私は両手いっぱいのひまわりを抱きしめる。
夏の終わりの香りがして、少しだけ切なくなった。