ひまわり畑からの帰り道、私は晶に訊いてみた。
ずっと気になっていたこと、どうしても確かめたかった。

「晶はさ、農業したいの?」

農家継ぎたいの?とも訊けたけど、小学生に継ぐ・継がないは重すぎる気がした。

「うーん……。」

そのまま晶は黙り込んでしまった。
晶からの反応がない限り、私も何も言えない。
無言のまま2人で歩き続ける。

「オレは、やりたい。」

しばらくして、晶はポツリと呟いた。

「父さんは農家に誇りを持ってる。母さんはあんまりオレに農家をやってほしくないみたい。だけど……。」

そこまで言うと、晶はまた黙ってしまう。

「だけど?」

私が先を促すと、晶は重い口を開いた。

「オレはやっぱり、農業やりたい。生まれたときからオレは農家だから。」

夕日を受けながら喋る晶の横顔が少しだけ頼もしく思えた。