玄関に行くと、山野家全員が揃って畑仕事に行く準備をしていた。
準備万端の私を驚いた表情で私を見つめる。

4人の視線を浴びながら、私は頭を下げた。

「昨日はありがとうございました。おかげで、すっかり元気です。」

「それはよかった。」

おばさんがぎこちなく言って笑う。

「それで、迷惑でなければなんですけど……。私、ここにいさせてください!まだ、やり残したこと沢山あるんです!」

もう一度深く頭を下げた私の肩を誰かが優しくたたいた。

「いいに決まってるだろう?まぁ、帰りたいって言っても帰さないけど。」

顔を上げると、おじさんがニッコリ笑っていた。

初めて見たときと同じ、よく日に焼けた笑顔。
この笑顔を見て、大人と駆け引きしようとしていた自分が馬鹿らしく感じた。

「ありがとうございますっ!」

何度も頭を下げる私に、呆れたように晶は言った。

「ねぇ、早く行こうよ。」