「少し1人にしてもらってもいいですか?」

今は、自分1人で考えたい。

「でも、体調もまだ充分じゃないし……。」

おばさんが心配そうに言うが、私は笑顔で答えた。

「もう、大丈夫です。仕事に戻ってもらっても。」

ごめんなさい、と私は最後にもう一度付け加えた。しぶしぶといった感じで3人は部屋から出て行き、私は1人きりになった。

最初は、単位さえもらえればいい、そう思ってた。
農業?そんなのするつもりない。汚れるし、焼けるし、できることならやりたくない。

でも、実際にやってみると、私の中で少しずつ変わっていったんだ。

作物の生長を見る喜び、ニワトリの可愛さ、作ったものをおいしいと言ってもらえる嬉しさ。
そういうものが、私を変えた。

突然襖が開き、おじさんが顔を覗かせた。

「ちょっと言い忘れてた。美優ちゃんのこと、誰も迷惑なんて思っちゃいないよ。」

それだけ言うと、おじさんはすぐに襖を閉めた。
トラックの中で農業について熱く語ってたおじさん。おじさんが農業一番好きなんだよね?

おじさんの一言は私の心に響いた。

私は……まだここにいたい。