意識して瞼を開いたのは、20年間生きてきて初めてかもしれない。最初に目に入ったのは、天井の木目だった。

「……美優ちゃん?おいっ、目を開いたぞっ!」

おじさんの焦った声が聞こえ、山野家4人の顔が次々に私の視界に飛び込んでくる。

「美優ちゃん、わかる?私よ?」

「はい……わかります。」

よかった、という安堵のため息とともに、視界から山野一家の顔は消えた。

「このまま目覚めなかったらどうしようかと思ったよ。」

「本当だねぇ。せっかくわざわざお手伝いに来てくれたのに。」

「あっもしもし、先生ですか?山野です。たった今、目覚めました!」

おばさんは、多分、お医者さんに電話をかけている。
もしかして、私のせいでお医者さんを呼ぶ羽目になったんだろうか?

「美優ちゃん、お水はいらない?」

電話を切ったおばさんは私の枕元へ帰ってくると、私に水を飲ませた。