「おはようございます。ごめんなさい、起こしちゃいましたか?」

私の足音、うるさかったのかな。静かだからな、この辺り。響いてたのかもしれない。

「大丈夫だよ、ばあばはもう起きてたから。年をとるとね、嫌でも早起きになるんだよ。」

おばあちゃんはにっこり笑って言った。
その話よく聞くけど、本当のお年寄りが言うとやけに説得力がある。実際、今こうやって早朝に話してるわけだし。

「みゅうちゃん、どうかしたのかい?こんなに朝早く。」

おばあちゃんは不思議そうに尋ねる。

「いいえ、別に何もないんですけど。私、みなさんにお世話になってばっかりだから、自分で出来ることは自分でやろう、って。」

「うんうん、偉いねぇ。」

でしょう?私、やればできる子なんです。
なんて、口が裂けても言わないけど!

「いえ、私、お手伝いで来てるのに、何も出来ないから。農作業も出来ないし、体力もないから。」

「そんなとこ、ないよ。――」

おばあちゃんが小さな子供を褒めるように言うから、だんだん恥ずかしくなってきた。

「あのっ、今日は何をしますか?」

これ以上、私が恥ずかしくなるようなことをおばあちゃんが言わせないように、私は話を遮り話題を変えた。