「どうする?補講、辞めるかい?」

先生はニヤッと笑って言う。
その勝ち誇ったような笑顔が私の闘争心に火を点けた。
負けてたまるか!こうなったら、何としてでも単位とってやるんだから!

「いいえ、絶対に受けますよ、補講。その実習はどこに行けばいいんですか?」

私の答えに、先生は少し驚いたようだった。
それもそうだ。普段の講義にさえろくに出席してない私が、だから。

「あ、受けるんだ。じゃあ、来週からここに行ってくれるかい?実習先には、僕から連絡しておくから。」

そう言って、先生は私の知らない住所を紙に書くと、私に差し出した。

「本当にいいんだね、農村実習。楽じゃないよ?」

私、そんなに根性無しに見えるの?
こう見えたって、気合と根性だけは誰にも負けないんだから!

「大丈夫ですよ。体力には自信あるんで。」

「ふーん、そう。まぁ、せいぜい頑張って。山野さん、みんないい人だから。」

私は、さっきもらったばかりのメモに視線を落とした。山野さん、ねぇ。