「はーい、お待た――」

「ほら、行くぞっ!」

最後まで言い終わる前に私は晶に腕を掴まれ、玄関まで引っ張られた。
何の躊躇いもなく長靴を履く晶を横目に、私はスニーカーの紐をしっかり結ぶ。

「ねぇ、どこで何するの?」

作業の内容なんか聞いてない私にとっては、当然の疑問なんだけれど……。

「いいから、黙って付いて来い!」

私の質問にはまともに答えず、晶はまた私の腕を引っ張り田んぼへ連行した。

田んぼに着くと、おじさん、おばさん、それに、おばあちゃんまですでに揃って作業を始めていた。

「おはようございます。」

一番近くにいたおばさんに声をかける。

「あぁ、おはよう。やっと来たのね。晶、遅かったじゃないの?」

おばさんは軽く睨みながら晶を叱る。晶は必死に抵抗していた。

「違うよ、美優の準備が遅かったから――」